何もない世界

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すべてはフィクション「サピエンス全史」上巻

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今世界的に大ヒットしてるらしい「サピエンス全史」を読みました。

 

本書は、アフリカの片隅で暮らしていた取るに足らない動物「ホモ・サピエンス」が何故、現在の様に世界を支配できたのかを、イスラエル人の歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリが解説した本です。

そもそも人類の誕生が600万年前、その後様々な人類種が進化していき、20万年前にホモ・サピエンスに進化します。

そして7万年前に認知革命が起こり、ホモ・サピエンスの歴史が始まります。

認知革命がなぜ起こったのかはよく分かりませんが、認知革命によって神話や宗教などの虚構を言語によって伝えることが出来るようになりました。

しかし、なぜ認知革命によってホモ・サピエンスが他の動物を差し置いて生物の頂点を駆け上がっていくことが出来たのか。

例えば、アリやミツバチなども何かしらの言語を持っており、意思を疎通させる方法を知っています。音声言語を使うサルもいて、鳴き声によって「気をつけろ!ワシだ!」「気をつけろ!ライオンだ!」と言う意味であることを突き止めた学者もいると言います。

我々が使っている言語は、限られた音で無数に文章を作ることが出来、周囲の状況などを細かく伝えることが出来るので、とても優れていると言えますが、それ以上にホモ・サピエンス最大の特徴で、世界を支配した重大な理由は、先程の虚構を言語によって伝えることが出来る事。つまり、実体のない想像上のもの(国家や貨幣や法律なども)を認知し、共有することが出来る事です。

それがなぜ重大なのかと言うと、例えば、チンパンジーに「今俺にバナナを譲ってくれれば、お前は死後にチンパンジーの天国でいくらでもバナナを食べられる」と請け負っても譲ってもらえない。しかし、逆に人間だったらこれと似たような状況で、もしかしたら命を捨てることもあるかもしれない。

この違いによってホモ・サピエンスは一度も会ったことのない他人と協働することが出来る。人間以外のチンパンジーの世界も社会があり、その中で協働することも可能ですが、全員顔見知りの必要があり、せいぜい150人が限界だそうです。それに引き換えホモ・サピエンスは貨幣と言う紙切れを持って、見ず知らずの人と食べ物を交換することが出来ます。これは貨幣の価値と言う虚構が信じられていれば、世界中の人と取引が可能になります。貨幣ほど普遍性があり、すべての人を繋ぐフィクションは無いと言います。

 

まだ上巻の最初の方ですが、まさに目から鱗が落ちるほど新しい考え方や発見があってとても面白いです。